もし、
もしぼくの願いがひとつなり、ふたつなり叶うことがあったとして、
(千年アイテムの所持者は一つ願いが叶うはずだったらしいが僕の場合はどうだかしらない.
叶った覚えは僕にはない)
そしたら僕はあいつに体を
とでも願ったんじゃないか
と思う。
もし
その願いが叶って体を持ったあいつが僕と同じようにこの世界で生きていく、
ようになったとして
も
多分あいつはぼくのものにはならなかったんじゃないか
と思う。
今となってはすべて推測の域をでないけれど、
あいつとぼくのからだが別個体になってしまったらそれはそれはまずかった。
たとえば
あいつが王様に勝てなかったように僕も王様に勝てない
のだとして
僕と離れて体を持ったあいつは王様のことが好きになって、
認めないだろうけど好きになって、
僕はかなしい思いをした
のかもしれない。
たとえば
僕のこころのなかみもあいつのこころのなかみもばらばらになってしまう
のだとして、
僕と離れて体を持ったあいつは僕のことがわからなくなって、
愛してくれようとしてるのにわかってもらえなくて、
僕は悲しい思いをした
のかもしれない。
そんなことにならなくてよかった
ので
僕は後悔をしていない
つもりだけどほんとうのところお前はどう思っていたんだろう
少し位は僕を思って優しくしてやればよかったとか大事にしてやればよかったとか
たまに僕が作ってやったご飯はおいしかったとかもっと濃い味がよかったとか
僕のお気に入りで実家から持ってきた本を自分も気に入っていたとか
うっかり僕がはさめていたページと違うところにしおりを入れてしまったこととか
意外と長風呂だとか僕よりうちのなかのもののありかを知っていることとか
もっと僕と一緒にいたいとかいたくないとか
好きとか嫌いとか憎いとか気持ちがいいとか
愛してるとか愛してないとか
忘れる忘れないとか
そういうこと
どう思っていたんだろう
ね。
(おやすみなさい)